【DQIII - DnD v3.5】

■ はじめに ■

本ブログはDQIIIをDnD v3.5にてプレイする企画に関する、1参加プレイヤーによるセッション資料・プレイリポート等、諸記録となります。

■ レギュレーション ■

・「名前は4文字以内」
・DnD3.5版日本語版使用
・勇者は人間16歳ハイロニアスなパラディン
・PHB種族は使用可能。他は応相談
・マルチクラス、上級職の選択はダーマの神殿のみで可能。
・キャラクター再構築はダーマで1回のみ。元のレベルを再構築時の最低半分残すことが条件。もちろん、再構築後もクラスの前提条件をすべて満たしていなければならない
(たとえば、Brb6LvならBrbLvを3Lv残してほかのクラスを合計3Lv分に変更できるが、再構築後にもアライメント制限等満たさなきゃいけないので、Brb3Lv+Pld3Lvという変更はできない。Lv以外のHPやら技能やら特技やらその他能力については、PHB2のP.199にある手順に従う)
・一度再構築した後は、PHB2のP.194の再訓練なら可能。しかしダーマの神殿まで行く必要あり。

■ カテゴリについて ■

・冒険の書・・・プレイリポート
・情報・・・プレイ中に判明した諸情報に関して
・キャラクター・・・キャラクター詳細

冒険の書

20数年前に世界を震撼させた『魔王』については未だ皆の記憶に新しいと思う。
その『魔王』が一人の勇者と、数名の仲間たちにより倒された事を知っているだろうか?
本ドキュメンタリーは関係者の証言に基づいて構成された、世界を脅かす魔王に敢然と立ち向かった勇者とその勇敢なる仲間達の戦いの記録である。

■勇者とその仲間たち■

現在、勇者と、勇者と共に戦ったと伝えられているのは・・・

ロッティ(パラディン/人間):亡き父の意思を継ぎ、魔王を打倒せんとする勇者。
リィマー(ウィザード/灰色エルフ):気高き森の一族出身の秘術魔法の使い手。
エヴロン(スカウト/灰色エルフ):同じく気高き森の一族出身の射手。イシスピラミッドの冒険にて死去。
ソフィア(クレリック(ファーラングン)/人間改めアアシマール):旅の神に仕える僧侶、仲間たちの命を支える癒し手。
バルミクマイリィル(ニンジャ/ウィスパーノーム改めグレイイエルフ):謎多き種族出身の顔を隠した忍者。陽炎お○
ツナ(バーバリアン/人間改めゴライアス):蛮族出身の戦士、薙刀と大剣の使い手。

・・・の6人の英雄たちである。

冒険の書 −壱拾伍−

I「王城にはどのように?流石に今度は正面から行ったとは・・・」
S「うむ、此処で先に訪ねた魔女の言葉を思い出したのさ」
I「魔女の言葉?」
S「ああ、我等が王城へ向かうつもりだと伝え、抜け道などを知らぬかと問うた時にな『紅玉の妖女様のご加護がありますように』と言っておったのよ」
I「『紅玉の妖女』・・・と言えば、ウィージャスですか」
S「ウィー・ジャスと言えば、墓よ。」
S「墓地に併設されていたウィー・ジャスを祭った祠にな、王城への抜け道があったのさ。」

〜冒険の書 壱拾伍〜

S「狭い通路を抜けると如何にも牢獄といった趣の辛気臭い通路に出た」
S「マイリィル、俺様、リィマーの順に踏み込んだ。年季の入った石壁に・・・格子付きの扉だ。」
I「地下牢、ですね」
S「ああ、この地下牢は『特別な地下牢』だった様でな、確か二部屋しかなかった。」
S「手前の部屋には何時の物とも知れぬ白骨化した死体、もう一つの部屋は・・・」
I「だ、誰かがとらわれて居たんですか?それとも強力なアンデッドが居たとか」
S「いや、直ぐには確認できなかった。もう一つの扉の直前に怪しげな紋様が刻んであってな」
S「その当時の俺様は知らなかったが、シンボルという言わば魔法のトラップだ」
I「シンボル、ですか。それはどんな効果の・・・」
S「効果は様々だがな、その紋様に近づき、その紋様を刻んだ時に設定した条件を満たすと魔力が解放されるというトラップよ。」
I「其処のシンボルの効果は・・・」
S「Q.S.K・・・・」
I「え?」
S「いや、何でも無い・・・シンボルの発動条件には様々なモノがあってな。中には解読しようとすると発動するというモノまである。」
S「その為にリィマーも何時ものように確認して対応する事が出来なくてな・・・とりあえず近づきすぎない様に無視をしようという話になったのだが・・・」
S「我等に続き勇者とソフィアが踏み込んだ瞬間、紋様の輝きが増してな・・・」
S「・・・気がつくと、河の向こうの花畑で、会ったことも無い爺が俺様に向かって手を振っていた。」
I「え、エエエエエッ!」
S「その爺がゴライアスだったのでな『いや、俺の爺様は人間だし』と思ったら、皆が蒼い顔をして回りに集まってきてな。」
I「ど、どういうことですか」
S「発動して判った事だが、そのシンボルは「善なるもの」が一定距離に近づくと起動して、一番近くの生物から生命力を奪い去るというシンボルだったのさ。」
S「たまたま一番近くに居たのが俺様だったから、俺様が死にかけたという訳よ」
I「危なかったですねぇ・・・」
S「ほんとに危なかったな。一番近くに居たのがマイリィルやリィマーだったらと思うとゾッとする。」
I「??どういう事ですか」
S「ああ、そのシンボルはな『一定量の生命力を奪いきる前に一番近い生き物が死んだら、次に近い生き物からも生命力を奪い取る』というモノだったのさ」
I「・・・つ、つまり、貴方だったから貴方が死にかけただけで済んだと・・・」
S「その通りよ、ククククッ」

***

S「シンボルを無効化し、その牢獄を調べると、ご丁寧なことに更に牢屋を覆うように力場の檻で囲われた中に今にも死にそうな男と、城付きの侍女の様な姿をした女が閉じ込められていたよ。」
I「・・・ま、まさかそれが・・・」
S「ああ、俺様は中の様子をざっと見た後、直ぐに周囲警戒の為に離れたのでな、後から聞いたのだが、囚われていたのはやはりサマンオサの真の国王と言う事だった。」
I「今の国王は替え玉、という事ですか。しかし何でまた本当の王を生かして・・・」
S「なんでもな、サマンオサに伝わる秘宝『変化の杖』の力を利用して国王に成り替わっているという事だった。」
S「その『変化の杖』の力は強大でな、通常の方法では杖による変身を見破る事が出来ない。見破る事が出来るのは『ラーの鏡』というアイテムだけ。」
S「但し、その変身を維持するためには変身の対象が生きている必要があるという。」
I「その為に、そんな衰弱した状態で幽閉されていたんですね。サマンオサの『変化の杖』に『ラーの鏡』・・・」
S「うむ。勇者が侍女に必ず助けると約束して〜サマンオサ王はもはや言葉も発せられる状態ではなかった〜一先ず地下牢を後にした。」

***

S「再び秘密の通路を抜けウィー・ジャスの祠につくと、まず勇者が『あの侍女はあやしい』と言い出してな」
S「何でも、去り際にそう、勇者の言葉を借りるなら『邪悪な笑みを口元に浮かべた』と言うのだ。」
S「加えてリィマーも侍女から明らかに不自然な魔力が発せられていたと言う。」
I「つまり、侍女も・・・魔王の手下と・・・」
S「ああ、結局確認する機会を得る事は無かったのだがな。それはまた後の話だ」
I「この後はどのような方針で?」
S「うむ。確かに侍女は怪しいが、『変化の杖』と『ラーの鏡』の話は真実だったし、魔王の手下が『変化の杖』で国王に成り替わっているのも事実だろう。」
S「『ラーの鏡』は偽国王の変身を解く為に必要なので取りに行く事にしたのよ。」

***

I「確かに『ラーの鏡』についてはサマンオサの歴史を紐解くと何度か出ては来るのですが・・・」
I「いったいこの時は何処に隠されていたんですか?」
S「うむ、この時は街から馬で一晩程の距離にある湖の洞窟に安置されているという事だった」
I「サマンオサ湖ですか!今は大陸で一番透明度のある湖とるるぶにも載ってますよ。街からの距離も程々でデートスポットだとか・・・」
S「そ、そんな事になっているのか?」
I「ええ、あ、でも十数年前から姉妹のフェイが住み着いてるとか聞きますね。」
S「・・・・」

***

S「あ〜今でこそ観光名所になる位だと言うが、我等が辿り着いた時は酷い有様だった。」
S「水は澱み濁り異臭を放っていた。」
S「湖の中ほどに小島があり、確かに其処に洞窟が見受けられたが、その小島に渡るためには腐りかけた橋を渡る必要があった。」
I「え・・・サマンオサ湖がそんな有様だったんですか!」
S「ああ、何しろその湖にはブラックドラゴンが二頭も住み着いていたからな。」
I「ブラックドラゴンが!それも二頭ですか!」
S「橋を半ばまで進んだ頃だったか。二頭のブラックドラゴンから奇襲を受けた。橋の両側から攻撃されてな。」
S「こちらは橋の上で隊列も伸び切ってしまっていてな・・・」
S「リィマーが集中的に狙われ、勇者も乗騎ごと湖に沈みかけたりと危うかったが、二頭のうち小さい一頭を打ち破り、何とか陸地に撤退する事ができた。」
I「あ、危なかったですね・・・」
S「まぁ、一晩かけ準備を整え、もう一体のブラックドラゴンもその巣で打ち破ったがな。」

***

I「そして・・・『ラーの鏡』の洞窟ですね」
S「うむ。」
S「まずソフィアが神に伺いを立てた。応えは『欲望と偽りに注意せよ』と言うものだった。」
I「欲望と偽り、ですか」
S「ああ、だがその意味は直ぐに明らかになった。」
S「その洞窟は拍子抜けするほど何も無かった。其処に在ったのは・・・膨大な宝箱だ」
I「え?膨大な宝箱?ですか」
S「うむ」
S「宝箱となれば開けたくなるのが我等冒険者の性。だが先ほどの神の啓示だ」
S「何も考えずに開けて歩けば、宝箱に擬態している化け物に襲われたり、Q.S.Kだったりするのだろうよ。」
I「Q.S.K・・・?」
S「それでも幾つかの宝箱は開けてみたが・・・キリが無いのでな、何とも気になるが無視する事にした。」
I「・・・Q.S.K?」
S「未だにあの中には何が入っていたのか時々気になるな。」

***

S「その洞窟の再深奥の開けた空間にな周囲を水路で囲まれた小島があった。」
S「『ラーの鏡』は其処の祭壇に安置されていたのよ」
S「其処まで障害らしい障害が無かった事。サマンオサ王の偽物が未だ手に入れた様子が無い事。」
I「・・・悪を拒む空間・・・ですか?」
S「貴様、察しが良いな。我等もそう考えて勇者にその祭壇に近づいて貰ってな。結果無事に『ラーの鏡』を手に入れる事が出来たのよ。」

***

S「そう言えば・・・持ってきた鏡を盛んに勇者がリィマーに向けて居たが・・・あれは勇者がリィマーを疑っていたのか?」
I「エッ・・・・」

***

I「鏡は手に入りましたが・・・この後は偽物退治とサマンオサ王陛下の救出、ですね。」
S「ああ。幾つか作戦を立案し、ソフィアが神に伺いを立て・・・まず、国王を救出することにした。」
S「侍女・・・いや、侍女に化けている何かは悪為す何者かである事は間違えないと判断してな、リィマーの呪文により直接牢獄に転移し侍女を無力化することにした。」
S「作戦は図に当たってな、偽侍女を速やかに排除することに成功し、国王を無事救出した。」
S「どうやら侍女はサキュバスだった様でな・・・」
I「つまり、国王陛下は・・・」
S「うむ・・・」

***

I「ついに・・・サマンオサ解放ですね。」
S「ああ、作戦はシンプルに。夜陰に乗じて姿を隠し、国王の寝室を急襲する事にした。」
S「幸い、ブラックホークダウン・・・とはならずに済んでな」
S「姿を消し、集団飛行の呪文で王の寝室のバルコニーに降り立ち・・・奇襲よ。」
I「こ、ここで『ラーの鏡』ですね!一体サマンオサ王に化けていたのは!?」
S「レッドドラゴンハーフのトロル、だったよ。俺様でさえ見上げるような巨体に強力な再生能力。」
S「奈落より連れて来たであろう怪しげな魔物を引き連れ・・・中々の難敵であったわ。」

冒険の書 −壱拾肆−

I「思いがけずオーブも手に入りましたが・・・この後は予定通りグリンラッドへ向われたのですか?」
S「うむ。イシスの女王や北の地の巫女達の助言、預言か?を手がかりにオーブと鍵は集めているが、情報不足は否めんしな。」
S「話は変わるが・・・喋る馬と言う生き物を知っているか?」
I「は?唐突ですね。喋る馬なんて、それは馬じゃなくてU.M.Aですよ。」
S「・・・」
I「・・・」
S「・・・」
I「・・・すいません、続けてください。」

〜冒険の書 壱拾肆〜

S「我等はアリシアの町に別れを告げて一路北を目指した。」
I「人の住む最北、グリンラッドですね。」
S「グリンラッドに到着し、何時ものように氷原を歩いて進むと・・・」
I「歩いて進むと・・・」
S「目の前には青々とした豊かな草原よ。もちろん寒さなぞ微塵も感じないな。」
I「す、すごいですね、あれ、でもグリンラッドに今はそんな場所・・・」
S「腐っていてもこの世界で賢者と呼ばれる人物の一人だからな。見つかりたくないと思えば見つからない方法なぞ幾らでも在るのだろうよ。」
I「確かに」
S「直ぐに賢者の住まいも密かったのだが・・・」
S「何を聞いても『サマンオサに『変化の杖』というアイテムがあるらしいんじゃがのう』の一点張り」
I「それって『変化の杖』をもってこいと・・・」
S「ああ、取り付く島も無い。いっそのこと暴れまわってやろうかとも思ったがな。何を仕込んでいるか判らんから止めておいた。」
I「・・・」

***

S「北の賢者は話しにならなかったのでな、グリンラッドを後にした。」
I「当初の予定通りテドンですか?」
S「いや、アリシアの町の騒ぎを納めた時にな、そもそも街造りの発起人であるところの爺から、報酬代わりに故郷に置いて来たアイテムを譲り受ける約束をしていてな。爺の近況を伝えがてら、爺の故郷の村へ向ったのよ」
S「アイテム自体はまぁ程々と言ったものだったが、村に住まっていたエドと言う・・・」
S「・・・エドと言う人物から海の賢者について聞くことが出来たのは大きな収穫だった」
I「(なんか言い淀んでたけど・・)エドさんというのはやはり賢者かなにかで?」
S「いや、長命であることは確かだと思うが、良く判らんな」
I「良く判らんって・・・」
S「何しろ・・・まぁ、構わん。そういう人物がいたと言うことだ。」
S「でだ、エドから海の賢者の住まっていた塔がかつて在った場所を教えてもらったのだが」
S「何でもその場所は今では海の底に沈んでいると言う話だった。」
S「かつてこの村で所有していた『乾きの壷』というアイテムがあれば何とかなるかも知れないという事だったのだが、その壷は何でも東から来た連中に持ち去られたと言う事でな」
I「場所的に、東というとポルトガか・・・エジンベア?」
S「うむ、ソフィアがポルトガ国王、では無く、王妃に伝聞にて確認したところ、ポルトガはそのような事はやっていないと言う事だったのでな、エジンベアに向ったのさ」

***

I「エジンベア、入国管理が特に厳しいですよね。」
S「うむ、入国許可を手に入れるのに二年待ちとかぬかしておったな。」
S「・・・今話している内容は書物や何かになるのか?」
I「え、ええ、そのつもりですが」
S「そうか・・・」
I「えっと、エジンベアには・・・」
S「八方手を尽くして、入国した」
I「え?」
S「だから、八方手を尽くして、入国した。判るな?」
I「・・・」
S「飯は糞不味いし難儀な国だったわ」

***

I「乾きの壷、ですね?」
S「うむ、国王にお目通りを願って話を聞くと、何でも先代が泥棒除けに趣向を凝らした部屋の奥に収めたらしいんだが、その部屋の罠を解除する方法が伝わっておらず、城の地下で手付かずで放置されているという話だ。」
I「ずいぶんな扱いですね」
S「まったくだ。大して価値を認めていた訳でも無いようでな、勝手に持って行く分には構わんとのお達しよ」
I「強奪とかに為らなかったのは幸いですが・・・先代在位時から放置してある泥棒除けの部屋だと、さぞかし・・・」
S「うむ。だだっ広い部屋で、奥の壁には剣山。部屋の三分の一と三分の二のあたりには部屋の端から端まで幅の広い溝が掘ってあった。溝の底は見えなかったが、奥の壁と似たような物が仕掛けられている事は容易に想像がついた。」
I「それだけだとどんな仕掛けなのかは良く判りませんね。」
S「ああ、いくつか試して判ったことは、溝の底にはやはり剣山が仕掛けてあってご丁寧に毒まで塗ってあった。」
S「床は非常に滑りやすく、マイリィルをもってしても滑らずに歩くのは至難。一度バランスを崩せば溝まで一直線」
S「魔法的な手段で進入すれば、解除されてしまう。」
I「・・・歩いても無理、飛んでも無理、ですか、それじゃぁどうやって・・・」
S「何、飛んで獲りに行っただけよ」
I「え、だって魔法はだめだと」
S「何、一つ翼のある生き物に乗って行っただけの事よ」
I「あ・・・」

***

S「『乾きの壷』を手に入れた我等は一路海の賢者の塔が在ったという海域に向った」
S「確かに、その海域はほかと比べれば浅い様だったが、当然足が付く様な深さの訳も無い」
S「大型船が喫水しても十分な深さだ」
I「『乾きの壷』の出番ですか」
S「うむ」
S「その場で乾きの壷を使用すると、海の水がどんどんその中に吸い込まれてな・・・」
S「数分経たないうちに、海底があらわになった。」
I「す、すごいですね」
S「ああ、あれほどの光景はなかなか無いな」
S「周囲を海水の崖に囲まれた大地。その中央に・・・海の賢者の塔よ」
I「そんな所に住んでいるなんて、いったいどんな人物か想像も付きませんね」
S「ククククッ、人では無かったさ」
I「え?じ、じゃぁ・・・」
S「『もう』人ではなかった、と言ったほうが的確だな。」
I「も、もうって事は・・・まさかリッチとか・・・」
S「クククククッ」

***

S「中々に友好的な人物でな、我等の問いにも快く答えてくれた。」
I「・・・」
S「最初の鍵を所有していた賢者もそうだったが、何らかの予知があったのだろうな。勇者が訪れると言う。」
S「海の賢者が言うには、ネクロゴンドを目指す為にはオルテガと並んで世に聞こえし勇者、サイモンが帯びていると言う『ガイアの剣』が必要だとの事。」
S「そして勇者に最後の鍵を託すと再び海の底へ沈んだ。」
S「恐らく、悠久の時を誰にも邪魔されず思索に費やしているのだろうな・・・」

***

I「次は・・・サマンオサですか?テドンですか?」
S「当初の予定通りテドンへ向った。」
S「テドンの所在は調査済みだったから、航海に問題は無かった。このころになると、我等を脅かすような手合いにも中々遭遇しなくなっていたしな。」
S「日も落ちて暫く経ったころにテドンに到着したのだが・・・」
S「滅ぼされたと聞いていた村に明かりが見える。煮炊きの煙もだ。」
I「え?復興して・・・」
S「イシスの女王からも復興したなどという話は聞いて居なかったな。」
S「首を傾げつつ船を停めテドンの村に入った。」
S「そこはかとない違和感を感じながら、村長に話を聞くがどうにも要領を得ない。」
I「???いったい」
S「あの時の我等も今の貴様のような面をしていただろうな、クククッ」
S「そうこうしている内に夜も更け、村長とどこか食い違ったやり取りをしていると、見張りの声が上がった。魔王の手下の襲撃だ」
I「ついに!そしてテドンは二度目、ですか。でも今度は勇者が!!」
S「ククク・・・空から飛来した魔物たち。だが、我等にはまったく目もくれず殺戮に興じ始める。」I「え?」
S「当然、我等も応戦しようとするが、リィマーの魔法も影響を及ぼさず、勇者の剣も俺様の剣もまるで霞を斬るかの様な手ごたえ。魔王の手下共の目にはそもそも我等が映っていない有様。」
S「村長は・・・魔王の手下相手に・・・いや、真っ先に殺された。」
I「??」
S「気にするな。我等の剣が届かぬ事を良い事に、目の前で展開される虐殺。」
S「勇者と俺様は剣は届かぬとは言え何もせずにも居られず、襲撃してきた部隊のリーダーと思しき魔物を挟んで剣を振るっていたのだが、何を思ったかマイリィルが勇者に近づき、何かを取り出した。」
I「・・・今、鍵に為りそうなのは・・・最後の鍵と山彦の笛と・・・」
S「そう、山彦の笛だ。・・・突然吹き始めた時はさすがにびっくりしたがな。」
S「マイリィルが笛を吹き鳴らすと、突然目の前の魔物たちが実体を伴ってきた。」
S「そして、当然魔物共の目にも俺たちが見え始めたらしい。」
S「まだ、何か形の無いものを斬っている手ごたえには代わりが無いが、やつ等の爪も我等の剣もお互いに届くようになり・・・」
S「今度はマイリィルが突然魔物が向っていた建物に飛び込んだ。」
S「そしてその直後、魔物共と我等の存在が重なった。我等の剣が届くようになったのさ。」
I「!!」
S「剣が届くと為れば、やつらに好き勝手させる理由は無い。」
S「村の被害も軽微とは言えんが、無事に魔王の手下共を撃退するのに成功した。」
I「二度の滅亡は避けられた訳ですね!」
S「クククク・・・。我等は村人の救助や手当てを手伝った。眠った覚えは無いのだが、気が付くと朝だ。」
S「朝、我等の目の前に広がっていたのは、完膚無きまでに蹂躙された廃墟の遺跡だったのさ」
I「えっ!?」
S「クククククッ・・・」
I「え、え、それじゃぁ貴方達が戦っていたのは・・・まさか・・・」
S「皆で首を傾げていたが、昨晩戦った敵の得物の槍と、マイリィルの手にはオーブが残っていた。」I「オーブが!?」
S「マイリィルが飛び込んだ建物は牢屋だった様でな、その牢の中には一体の拘束されていた遺体と・・・」
I「拘束されていた?」
S「うむ、足枷がはずされた遺体だ。そしてその遺体の背後の壁にはメッセージが書いてあったな」
S「確か『今度は渡せて良かった』と言う様なメッセージだったな。」
I「・・・」

***

I「次は・・・サマンオサ、ですね!」
S「ああ。」
I「いや〜〜〜サマンオサの陰謀も、魔王殺し、正確には魔王殺しとなる勇者の尽力で解決したとしか伝わって居ないんですよね。」
S「そうなのか?」
I「はい、いや、そりゃぁ勇者の英雄譚の中では数ある見せ場の一つですからね、色々詠われていますが、どれもこれもいい加減で・・・」
S「そうなのか。では真実を話すとしようか。満足できる様な話になるかどうかはわからんがな。クククククッ」

S「オーブを二つ手に入れた我等は一度レイアムランドを経由してからサマンオサに向った。」
S「もっとも、あの当時サマンオサには船で直接向うことは出来なくてな、旅の扉を使うしか無かった」
I「数年前から沿岸に大型船も停泊できる港が整備されて、併せてサマンオサまで通じる街道ができましたね。」
S「そうなのか!しかし、この世界は久しぶりだが随分と様子が変わっている様だな・・・」
S「話がずれたな。サマンオサへ向う旅人の扉はグリンラッドの南の祠にある。いかんな、誰から聞いた話だったか記憶が定かで無いが・・・グリンラッドの賢者だったか?」
S「とにかくサマンオサに一番近い旅人の扉が在る、旅人の教会に向った。」
S「しかし・・・旅人の教会で聞くサマンオサの噂はどうにもこうにもきな臭いものばかりだ。」
S「曰く、些細な罪で厳罰、処刑を繰り返す。曰く王の所業に苦言を呈した家臣たちは軒並み追放されたり、投獄されたりしている。曰く、勇者サイモンも数年前に追放されてしまった。どれもこれも、数年前から突然に、だ。」
I「どうしようもない話ばかりですね・・・あ、あれ!?サイモンが追放ってそれじゃぁガイアの剣は!?」
S「ああ、ガイアの剣を手に入れるだけであれば、サイモンの足跡を追うのが早いのかもしれんが、我等の勇者に、その様な状態のサマンオサを看過できる訳が無い。」
I「そうですよね、ですから『勇者』」
S「その通りだ」

***

S「早速王城に乗り込んで・・・と行きたいがそういう訳にも行かぬ」
S「少しでも情報が欲しかったからな、サマンオサ近くの森に『魔女』と呼ばれる人物が居るそうでな、その人物を探し出して話を聞いてみたが・・・噂の再確認の他にはサイモンの息子の話位しか聞けなかった。意を決してサマンオサに踏み込んだ。」
I「その当時のサマンオサ、話には聞いていますが・・・」
S「ああ、本当にひどい有様だった・・・街には活気が無く、衛兵はゴロツキと変わらん。弔いの鐘は鳴り止まず、人々のすすり泣く声がそこかしこから聞こえてくる。」
S「神殿で弔いの列を見送った後、サイモンの息子の住居を司祭から聞いて向った。」
S「サイモンの息子に拠れば、案の定と言うべきか、ガイアの剣はサイモンと共に行方不明との事。」S「思いつめた様子の見られるサイモンの息子を勇者が励ましてな、我等は王城へと向う算段をすることにした・・・」

冒険の書 −壱拾参−

I「これで・・・あと残り二つのオーブと鍵、ですか?」
S「うむ。だがここで手詰まりになってしまってな。」
I「どうなさったんです?とりあえずバラモス城に向ってみた・・・とか?(笑」
S「ククク、その方法もあったな。まぁ俺様たちはとりあえずアリアハンに戻ることにしたのさ。」
I「経過報告ですか?」
S「それもあるがな、文献や資料を調査するのにリィマーのギルドの図書館を使おうとしたんだが、一番近いのがアリアハンだったのよ。」

〜冒険の書 壱拾参〜

I「久しぶりの里帰り・・・一年ぶりくらいですか。」
S「ああ、やはり故郷と言うのは良いものだな。」
I「皆さんの成長ぶりにアリアハンの方々のびっくりしていらっしゃったのでは?」
S「むしろ、ソフィアにマイリィル、俺様の変わりっぷりにびっくりしていたな。」
I「人間やめちゃいましたからね(笑)」
S「クククククッ」

***

I「調査の結果は如何でしたか?」
S「幾つかの事実が判明した。」
S「何から話すべきか・・・」
S「・・・うむ。まず、バラモスとバラモスの居城についてだが」
S「元はネクロゴンド地方の小国だったらしいのだが、二十数年前に一晩にして滅んで負のエネルギーのバリアで覆われてしまったらしい。」
I「ひ、一晩ですか」
S「うむ。これはアリアハンの国王陛下の情報だったかな?」
S「リィマーは『半端な知識で別の次元への扉を開いたんだろう』と推理していたな」
S「そして最後の鍵だが、バラモス城から魔物共が溢れた時に、当時ドワーフの坑道だったネクロゴンドの洞窟が狙われたらしい」
S「結局魔物共の侵攻を抑え切れなかったんだろうな。最後の鍵とは、そのネクロゴンド封印した扉の鍵だそうだ。」
I「そうするとその鍵はドワーフが・・・」
S「いや、ドワーフと親交のあった『海の賢者』なる人物に預けられたらしい。」
S「『海の賢者』についてはこの時は詳しい情報を得られなかったな。」
I「残り二つのオーブについては?」
S「オーブについては目ぼしい情報はなかったな。」
S「何、残りひとつは、オーブの巫女のメッセージからして、おそらくテドンだろうしな。」
S「残りひとつも何とかなるだろうと思っていたな。まぁ根拠の無い自信だったがな」

***

I「行く先としては・・・『海の賢者』探しかテドンですか」
S「幸い、この一年で各地に知り合いも増えたしな。まずソフィアがセンディングで聞き込みをしたさ」
S「やはり、これと言った成果は無かったのだが、ペーターの師でもある『グリンラッドの賢者』であれば何か知ってるかもしれないと言うことでな。」
I「グリンラッドですか!確か人間が住む最北端の島だとか・・・」
S「うむ。ソフィアの聞き込みでアリシアが中々に街を発展させていた様でもあってな」
S「アリシアの街に立ち寄ってから向かえて都合が良かろうという事で、一先ずの目的地をグリンラッドに定めた。」
I「アリシアさんの街・・・今のアリシアバーグですよね?」
S「ああ、そんな名前だったな。」
I「と、すると、お話に出てきたアリシアさんというのは、当代きっての美人遣り手市長と有名なあの・・・」
S「・・・貴様らの業界は、女が活躍すると何にでも美人とつけるようだな。」
I「それは置いておいて下さい。」
S「ふむ。・・・アリシアは今は遣り手ということになって居るのか?」
I「ええ、一代であれだけの大成功を収められていますし・・・手記はベストセラーですよ。」
I「魔王討伐の勇者との経緯については触れられて居ませんでしたが・・・」
S「・・・そうか。ま、これから話す事をどう扱うかは貴様に任せるさ。もう時効だろうしな。」
I「え・・・」
S「そう構えるな、大したことじゃぁないさ。クククッ」

***

S「アリアハンからアリシアバーグまでの道のりは穏やかなモノだった。」
S「何もなかった訳ではないが、あの頃の我等が難儀する様な連中と遭遇することもなくてな。」
S「数週間の航海、アリシアの街が見えてきた時の驚きは今も覚えている」
I「そ、そんなに凄かったんですか?」
S「ああ、別れてから半年経つか経たないかよ。精々掘立小屋が幾つかで集落程度を想像していたんだがな。」
I「半年じゃぁそれくらいを想像しますよね」
S「交易船の停泊も可能な港を中心に備えた結構な町になっていてな。」
I「そ、それは凄いですね。」
S「うむ、どれだけの金が流れ込んだか気になる所だな。」

***

S「アリシアと旧交を温められたし、この街のブレーンである所の商人から思いがけず『海の賢者』に関する情報も得られてな」
S「俺様達としては、此処で何も見なければ一晩ほど滞在してにっこり笑ってサヨナラまた逢う日まで、だったんだが・・・」
I「何か看過できないものを見てしまった・・・?」
S「ああ。」
S「確か、公務が残っているからというアリシアと、晩餐会に出席する約束を交わし別れた後だった。」
S「宿に荷物を置いて街の見物をしているとな、『我等が見た街には似つかわしくない』身なりの童がこちらを窺っていてな」
I「・・・急な開発の歪、ですか。」
S「ああ。その童の案内で労働者達の居住地区に向かって色々話を聞いたんだがな・・・」
S「率直に言って問題のある都市経営を行っているという事が明らかになったのさ。」
S「・・・それでも言葉が足りんかな。一触即発と言って良かったかもしれん」
I「そ、そんなに酷かったんですか?」
S「ああ、場所が場所だ。今でこそあの街を中心に周辺地域の開発も進んでいる様だが、あの当時はそれこそあの町を一歩出れば見渡す限りの大平原よ。」
S「あの町の開拓者はその多くがロマリアからの移民よ。あの町から逃げようと思ってもその外で暮らす術が無いのを良いことに、かなり無茶な労役を強いていた様でな」
S「あまつさえ、労働環境改善を訴え出た労働者グループのリーダーを投獄している始末だ」
I「そ、それは・・・」
S「あまり上手い経営とは言えんな。」

***

I「・・・どうなさったんです?」
S「勇者の為に設けられた晩餐会だ、いきなり無礼な態度を取る訳にも行くまい。」
S「本当は直ぐにでもアリシアを問い質したい様だったが、堪えてもらったよ」
S「料理は確かに美味かったな。」
I「・・・」
S「う、うむ。でだ、その晩餐会の間にマイリィルが捕えられている労働者達のリーダーに面会してきたのよ。」
I「・・・面会、って・・・」
S「・・・面会だぞ?」
S「状況の再確認ではあったが、勇者がアリシアを問い詰めるには十分な裏付けを取れた。」
S「翌朝、我等・・・いや、勇者はこの町初めての劇場の落成式典への出席を求められて居たのだが」
S「その前に、まぁ、半ば無理やりアリシアをダウンタウンに連れて行き・・・説教の時間よ」
I「せ、説教ですか」
S「説教というのが一番正しかったろうな(笑」
S「アリシアの言う『不満があるならより励め』という意見はそれだけなら尤もだが・・・」
S「あの時のあの町ほど、労使の力関係に差があると成り立たぬよ。逃げ場が無いのを良い事に強制労働だからな」
S「現状を再確認し、理を以て説き・・・今、己の置かれている状況を理解して・・・」
I「説得に成功したのですね!」
S「・・・と思いたいな。まぁ、今も遣り手として現役なのだから、成功したのだろうな。」

***

S「落成式までには間に合わせて会場に向かい、無事に式典も終えたのだが・・・」
I「ま、まだ何か」
S「劇場から出てみれば、中央広場で大騒乱」
S「釈放されたはずの労働者の代表が、磔刑に処されようとしていて広場は暴動寸前よ」
I「つ、つまり黒幕が?」
S「ああ、アリシアの側近のロマリア国王から紹介されてオブザーバーを務めていた男が黒幕だったのよ」
S「・・・面妖な技を使う人ならざる存在。魔王の手下、だった様だな」
S「首謀者こそ取り逃がしたが、他に紛れ込んでいた魔王の手下は無事倒す事が出来た。」
S「勇者の演説の甲斐もあり暴動はぎりぎりの所で回避できて一段落。」
I「一安心ですね・・・そりゃぁアリシアバーグは今も存在していますから、此処でどうにかなる訳は無いんでしょうけど・・・」
S「そうそう、もうひとつ重要なことがあった。」
S「なんとオーブの一つがアリシアの手元に渡って居たのよ。『人と人の間を渡り歩き、流れている。定かならず』のオーブだろうな。」
S「どうも、魔王の手下の目的は、オーブだったようだな。」
S「これがアリシアバーグの顛末よ。」
I「思いがけない幸運でしたね・・・まさに人と人との間を渡り歩いて居たんですね。」
S「ああ。これで残るは最後の鍵とオーブよ」